従業員は「チームメイト」 社長の優しさとこだわり ㈱ナカノテック 代表取締役 中野貴之 様

従業員は「チームメイト」 社長の優しさとこだわり ㈱ナカノテック 代表取締役 中野貴之 様
㈱ナカノテック代表取締役 中野貴之 様

■プロフィール

兵庫県伊丹市出身。中学、高校はサッカー部に所属。当時のポジションはGK。
中2の時に関西選抜に選ばれるなどサッカー漬けの日々を送る。1992年に父親の経営する㈱ナカノテックに入社。工場長として現場を仕切っていたが、2006年に自ら現場を離れ営業職に異動。現場を熟知した説得力と熱意ある営業トークで一気に売り上げを伸ばし、2008年に社長就任。趣味はゴルフ、釣り、野球観戦、トライアスロンなど多岐にわたる。

こだわりが詰まった「工場らしくない工場」

伊丹市森本は比較的多くの工場が立ち並んでいる場所。そんな中、ひときわ雰囲気が違う綺麗なグレーの建物が。壁にある赤のおしゃれなロゴマークは、どこかのプロスポーツチームかと思わせる。

取材に行った時期は、梅雨が明け蝉の声が響き始めた初夏。工場の中に入ると冷房が効いており、耳には最近流行の音楽が入ってくる。また天井は開放感を感じさせるくらい高く、作業中の従業員の後ろにはバーカウンターにありそうな椅子。誰もが必ず使うトイレも入口から男女別に分かれており、誰もが利用しやすいコンビニのようだ。

実はこのような環境は、全て中野社長のこだわりである。
工場のイメージといえば「汗水垂らしながら作業する」「立って作業は当たり前」「機械音がうるさい」「汚れも関係ない」など、工場労働未経験者でもなんとなく想像してしまう。
しかしナカノテックは従業員が働きやすい環境を重視している、いわば「工場らしくない工場」である。現場経験者の社長だからこそできた、色んな思いの詰まった場所である。

勇気ある一歩が人生のターニングポイントに

入社してから14年が経った頃、競合他社が増え始めて売り上げにも影響が出てきた。会社を挽回するためも現場から離れて営業職に就きたいと、当時工場長の立場でありながらも勇気を出して先代の社長に申し出た。しかし答えはNO。説得に説得を重ねたものの話は平行線で、結局自ら工場長を降りて半ば強引に営業活動を開始した。

思い切ったものの心配はあった。自分が抜けた後の工場である。現場の仲間に迷惑をかけるのではないかとひそかに不安を抱えていた。しかし蓋を開けてみると次の工場長がしっかり回し、周りもサポートしてくれた。まさにチームワークである。
「あれが人生のターニングポイントだったと思う」
と、笑いながら懐かしそうに語る中野社長。一歩踏み出した勇気のおかげで仲間の力を改めて知れたことは、営業力を更に強化させた。心置きなく作業着をスーツに変え、汗水流して駆け回った結果、数社との大型取引を契約して売上を1億から3億にまで見事に引き上げた。“やったらやった分だけ評価される仕事”に責任と誇りを感じ、その実績と努力の結果、専務から社長へと駆け上がった。

“サッカー”との出会い

今までの話を聞いている限り全く想像つかないが、小さい頃は大人しくて勉強も苦手。どちらかというと活発ではない方だったそうだが、中学校に入ってから一変する。
兵庫県大会で優勝するほどの強豪であるサッカー部に入部すると、厳しい練習の日々。
「上下関係は当たり前。真夏の日なのに水を飲んではいけないとか。裸足でボールを蹴ると痛いし熱いし…」聞いているだけで足の裏が痛くなってくるが、そんな中でGKを任されることに。そのプレーは高く評価され、中学2年の時に関西選抜に選ばれたことを機に、学校生活では委員長なども積極的に立候補するタイプに変化した。

高校進学も強豪校である伊丹西高校へ。1年生の時にチームが全国大会へ出場し、先輩たちが大舞台で戦う雄姿を目に焼きつけた。中学校での厳しすぎる練習を経験したおかげで、高校の厳しい練習は時に楽しむ余裕さえあった。そしてサッカー漬けの学生生活をやり遂げることが出来た。

サッカーが好きだからこそ続けられたと思うが、好きだからゆえに頑張りすぎて、逆に嫌いになってしまうこともある。その支えには今のように仲間の存在があったと思うし、厳しさや不条理なことに耐え抜いたことは忍耐力に繋がり、社会人になってから生かされているのかもしれない。その力が自ら営業に移って駆け回った姿に繋がるのではないか。

「厳しいのが決して悪いことではない」
一つの競技を全力で駆け抜けた者だからこそ言える、その言葉には説得力があった。

取材後記

ナカノテックは更なる業績を伸ばし、現在は売上5億円弱までに到達。近年は取材依頼も増えているという。従業員は18名で、取材した伊丹工場の平均年齢は20代と若いメンバー。作業中にも関わらず笑顔で挨拶をしていただき、とても清々しい工場見学でした。また社長をはじめ伊丹出身の方が多いのも地元企業ならではのアットホーム感を感じました。
スポーツの経験が心身ともに強くさせ、会社経営者の立場を確立している原点でもあることを教えていただきました。中野社長、この度はありがとうございました!


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